January 31, 2005

『風花』

2001年、相米慎二、小泉今日子、浅野忠信。

オープニングが相米らしくて微笑ましくもあり。
本当に、自分が近々死ぬということをわかっていたのだろうか。

それにしても小泉には荷が重すぎたのか。『魚影の群れ』の夏目雅子と比べるのは酷だが、心根の部分を滲ませる演技にはほど遠い。彼女はあまり人柄の見えない女優だ。表層のずっと奥底にあるどろっとしたものを見せることがない不思議な存在感のある女優だ。それは相米が例によって極端な長廻しでどれだけ俳優を過酷な状況に追い込もうとも変わらない。優等生といえば言えるだろうが、エロスはない。
まあそれが小泉だし、イマドキだといわれればそれまでだが、正直なところつまらない。
深夜、雪の積もる厳寒の湖沼地帯のただ中で自殺をはかって最期の線香花火をするシーン、それに続く踊りのようなパフォーマンスに興じるシーンにも何らギリギリの切羽詰まったものが感じられないし、訴えかけてくるものが何もない。
だいたい相米の長廻しにかかれば演じる役者の「命」のようなものが感じられて(『雪の断章』の斉藤由貴においてさえ!)僕はそこが好きだったのだけど、こんな空回りもあるんだなあと妙に感心。

一方浅野の(主演の)演技を一本通して観るのは多分これが初めてなんだけど(ほんと邦画観なくなったなあ)、この陰険だけど酒が入るとギャグにしかならないキャリア官僚役はハマっていたんじゃないでしょうか。うまいなーと何度も笑わされました。


公開当時のテアトル梅田での舞台挨拶が面白いです。
『風花』初日舞台挨拶

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