December 28, 2004

映画回顧、2005。

年に15本程度しか観ることもなくなったのですが、それでも敢えてベスト5(笑)
旧作のDVD鑑賞も含めれば相当数になると思うのですけど、DVDのものでは次点としてアラン・パーカーの『ライフ・オブ・デビット・ゲイル』が入るくらいか。これは哲学者が書いたという脚本と、ローラ・リニーが素晴らしかったですね。『ミスティック・リバー』での彼女には気負いのようなものを感じで暑苦しかったのですが、どこか達観した佇まいを表現すると、もう絶品。

で、ベスト5。

 1.『父帰る』アンドレイ・ズビャギンツェフ 。
  言葉(会話)が欠落しているということからくる圧倒的な存在感。
  父性とは幻想の中にはないことを再確認させられる。
  映画の可能性。

 2.『モーターサイクル・ダイアリーズ』ウォルター・サレス 。
  マチュピチュを筆頭に、南米の自然の雄弁さ、サレスの色彩感覚。
  一切の偏見を持たない人から得られるカタルシス。

 3.『エレファント』ガス・ヴァン・サント。
  酔うほどに流麗なカメラワーク。
  『月光』から『エリーゼのために』への流れ。
  説明的な表現を排除して何が表現できるかという部分においての、ガスの自信
  たるや、もう。

 4.『ロスト・イン・トランスレーション
  フェロモン女優スカーレット・ヨハンソンと相変わらずとぼけた味わいの、ど  こか真摯さがにじむビル・マーレイという、キャスティングの妙。
  心許ない状況での、人肌の恋しさ。
  ロキシー・ミュージック。

 5.『21g』アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。
  皮膚呼吸もままならくなりそうな、俳優たちの息づかい。
  今後これ以上、どう凄惨な物語を描いていこうとしているのか、イニャリ    トゥ。


あと、フィッリプ・ロス原作の『白いカラス』も印象に残っているのですが、私にはニコール・キッドマンはダメだ、やっぱり(笑)  

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December 25, 2004

天皇杯準決勝、浦和vs磐田。

磐田でゴールを決めたのは33歳と37歳である。
今日の磐田の殊勲者はむしろ西だろうけど、暗澹たる気持ちになる。今年Jで頂点を極めようとした浦和を相手に、33歳と37歳にヤラれたのだ。

浦和で唯一決めた田中達也は22歳。
下手なナントカも数撃ちゃ当たる、である。一体何本ハズしたら気が済むというのか。こうも決めきれないというのは、一体なんなのだろう。練習の質が悪いのだろうか。あそこまで何度もどフリーのチャンスに恵まれながら。案外、メンタル上の問題かもしれないなとさえ思えてくる。スペースに飛び込むスピードとそのセンスには非凡なものがあるだけに、ほんとうに勿体ない。

中央からの攻撃に関してはアレックスがすべてみずから潰していました。ギドはどういう思惑で彼をトップ下に起用したのでしょうか。その視野の狭さと運動量のなさはもう致命的で、そのために平川と永井、アルパイがどれだけ走ってくれたか、彼は分かっているのでしょうか。まあアルパイはやりすぎの感もあったけど(笑)、中央がまったく機能していないことにギドが気づいていなかったはずがない。本人も「ボク、どうしたらいいの?」って顔していたのに。

磐田の山本カントクは今日の達也のことをどう評するだろう。体裁ではなくホントのところを訊いてみたいものだ。多分、今日の鈴木啓太を絶賛するだろう。その意味で達也をアテネに連れて行かなかったら今日の準決勝は達也に完膚無きまでにヤラれただろうなとほくそ笑むかもしれない。

それにしても33歳と37歳に。
溜息も尽きないわな。


War is over.
A very Merry Christmas!
  
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『明暗』夏目漱石。

年末年始の時間のあるときは夏目漱石とか谷崎の『細雪』とかヘミングウェイの『海流の中の島々』等の長編を読むことが多いのだけど近年忙しくなかなかそうもいかない。『海流〜』なんてどうも年末年始に読む作品じゃないなあとやっと最近になって気づいたのだけどそうはいいながらもう何度読んだかしれない。因みにこれは初夏というか、春の終わりの頃に読むのが相応しいんじゃないだろうか。
ドストエフスキーの『悪霊』も再読回数が多いけど正月に読むようなシロモノではない。こたつに入ってみかんの皮むきながら読めるようなものではない。いや、読めない訳じゃないが、年明け早々からヘヴィな気分で後ろ手にうつむき加減に歩くようなことはしたくない。
やはりこの時季は、読むならまったりと読みたいものだし。

たまにはまだ触れたことのない作家のものでも、と思うが、オッサンになってゆくにつれハズレのリスクは負いたくない気持ちは強くなる。でも人間、新鮮なものを味わいたいと思う気持ちも幾つになっても少しはあるだろう(ハズしたときの落胆と虚ろな気分たるやひどいものがあるのだが)。この年末年始はなんとか、新潮社クレストブックスシリーズあたりから何か一冊をとは思っている。

で、漱石の『明暗』。
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December 24, 2004

ユースカップ準決勝。

長居第二競技場に観にいってきました。

浦和vs鹿島(1-1、PK4-5)
バタバタなゲーム。浦和は夏に監督交代があってのことか、チームとしてのまとまりがないし、緊張感が皆無。特にサブ組のアップする際のだらけた感じは何だ! って印象。
浦和トップ下のアルゼンチン人1年生エクスデロは徹底マークされて仕事らしい仕事をさせてもらえず。時折おおっ! と魅せてくれるプレー(特に、どうしてそこに足が届くの!? というような)もあったのですがつなげず、フィニッシュにもっていけず。
鹿島と共にキープ力もないわプレスも浅いわ、必死にボール追っかけることもしないわ、中盤でテンポよく組み立てることもできないわで、即トップで戦力になると思える逸材は見あたらず。DFの野島君が3年後あたりいけるかな、という安定感を見せていました。

広島vs東京V(2-0)
大阪まで近いせいか、さすがに広島サポ元気がありました。この応援はかなり効いていたと思う。
第1試合に比べてずっとサッカーらしい、4-3-3-と4-4-2のタイトで攻守切り替えの早い好ゲーム。どちらもプレスが早く、必死にボールを追い、奪取されようものならその後のチェイスの激しさはJ1に見劣りすることもなかった。
広島で目を引いたのは、CK、FKのときのキッカーが左右それぞれのDFだったこと。DFに完全に任せるというチームは戦術も固めやすいし、相手に相当の脅威を与えるものだって事を改めて気づかされました。
既にトップデビューを果たしている前田に依存することもなく、全員が縦横無尽に走り回っていた広島の順当な貫禄勝ち。  
Posted by kiku999 at 11:37TrackBack(0)

December 21, 2004

不可解<代表合宿メンツ。

カザフスタン、シリア戦に向けての代表合宿メンバーが発表されました。海外組は敢えて外したようですが、変わり映えしません。
が、

坪井?
まだチームにおいてさえ完全復帰していないっちうねん。また怪我させたいんかジーコ。
久保?
同じく。また腰いわしても知らんぞジーコ。
阿部?
そんなにセットプレー命かジーコ?
流れの中でのゴールはもうあきらめたんか?

今この時点では坪井より闘莉王だろ。先日のドイツ戦の後でドイツのジャーナリストも言ってました(サカダイより)、  

    闘莉王はどんな場面でも勝利を追求するだけじゃなく、
    自己責任もよく分かっているタイプだ。(中略)
    なぜ彼は日本代表に呼ばれないんだろうか。

あと、不可解なのは毎度のことだけど鈴木と藤田と本山、中田浩二。溜息も出ない。天皇杯で負傷した大黒は3週間足らずで復帰出来る。なのに何故鈴木? 本山を入れるなら新潟の鈴木慎二じゃないのか? 中田を入れるなら、FC東京の金沢のほうが走れるのではないか? あるいはC大阪の苔口では? そして今の藤田に何を期待しているのか?

今更だけど、ビジョンが見えない。  
Posted by kiku999 at 23:16TrackBack(0)

December 20, 2004

天皇杯準々決勝、浦和vsFC東京。

平川、ネネ、堀之内、アルパイの4バック。
ナビスコ決勝やチャンピオンシップでこそ取ってほしかった4バックですが、ここへきてやっと動いてくれたかギド、でした。今後このフォーメーションは少なくともFC東京が相手になるときには一考されることになるのでしょうが、そうなったらヒロミもまた考えてくるのだろう。この辺の駆け引きにはこたえられないものがあるな。

何度か石川に抜かれはしましたが順当に左SBをこなしていた平川。東京らしいカウンターのサイドチェンジからの石川のシュートは仕方ないか。あそこでドリブルで突っかけてくれてたら抑えきれただろうけど、そうはせずにミドルを撃ってきたのには、諸手をあげて参りましたと石川を讃えざるをえない。

実際のところ茂庭不在に助けられた感もありましたが、いたにしてもモチベーションの差において浦和が圧倒したゲームでした。エメルソンがいない分、チームとしての怖さは数段落ちていますが、逆にその分コンパクトにまとまっています。まとまりすぎても面白くないけど、タイトルにこだわる執念からか、普段の攻撃的な印象が薄まることなどなく、楽しんで観ていられました。まあ、BSで観戦できたのは結果が分かって後のことだとはいえ。

エメが自分で言っているほどには「周囲を活かす」ことができていなかったように思えて仕方がないセカンドステージ後半だったのですが、さて来年2月に彼が戻ってきたときに、この天皇杯5、6回戦のようなまとまりを維持しながらエメの個人技を引き出していくという、逆に周囲がエメを活かすべく各人がホットラインのパターンを持つようなチームを目指してくれないかなと思うのですが.....
それより昨日のような4バックを観ていたら、坪井がレギュラーとして復活した後のDFラインをギドがどう組むのか、そっちの方が気になって仕方がない。  
Posted by kiku999 at 14:33TrackBack(0)

December 19, 2004

煙草。

078634b7.jpg


僕が日常的に煙草を吸い始めたのは19の頃からで、銘柄はセブンスター→ハイライト→ショートホープ→クールと代わってきました。クールは16年ぐらい吸ってきたのかな。

クールはメンソールとはいえちょっときつい煙草なのでそう簡単には他の銘柄に移行する気にはなれず、たぶん死ぬまでコレと付き合うことになるんだろうなーと思っていたのですが、今秋からパキッと代わってしまいました(笑)
ハイライトメンソール。

煙草の弊害に関する記事を読んで少しばかり暗澹とする気分にならざるを得なくなってしまった今日この頃ですが、こんな記事を読んだら本当にほっとしますね。
微笑ましくてさ。  
Posted by kiku999 at 01:05TrackBack(0)

December 17, 2004

天皇杯5回戦、草津、浦和。

草津vs横浜、感動モノでした。
後半奥に同点ゴールを決められても2人退場になっても誰一人がっくりうなだれることなく、草津はGK小島を中心に全員が前を向いていました。横浜はチャンピオンシップのメンバーからさらに坂田、清水、中澤、松田あたりの主力が不在。ポゼッションで圧倒し一方的に攻め立てるも、前線のツメが甘く、波状攻撃の迫力はまったくナシ。J王者に相応しい余裕も皆無。中盤での組み立てこそ分がありましたが、同じレベルのゲームにしか思えない。カウンターからのロングボールを多用するしかなかった草津は、結局は気持ちで圧倒している分、負けるとは思えなかった。
それにしても小島、右膝そんなんでプレーしていいんかよの貴乃花状態。チームを一つにまとめる才能と闘志には感じ入りますが、敢えて選手生命を賭してやる(やらざるを得ない?)プレーには非難の声もあるような気がする。

草津のユニフォームの背中のロゴ、「草津温泉」がマジで格好良かった^^

一方、湘南vs浦和。
後半こそ相手にボールをキープされることが多かった浦和ですが、危なげなく勝ち上がりました。相手GKのミス(ピッチがかなり滑りやすかった模様)もあり、0-3というスコアですが、不満。前半だけで0-4 堅かったはず。鈴木啓太、長谷部からの好パスで田中達也、永井がどフリーで蹴るも枠に行かない、なんで!?.....って局面が多すぎ。後半の長谷部と平川のシュートも同じ。「もっと精度を上げなければ」のセリフはみんな聞き飽きているし、今更言うことでもないことだから、準々決勝では内容においてきちんと結果を見せて欲しい。
後半途中からとはいえ、坪井が程良い緊張感をもっていつもと変わらない様子でコーチングしていたのは、感無量。
しかし次戦はFC東京相手なんだよな。PKになるなよ(笑)  
Posted by kiku999 at 11:55TrackBack(0)

日本vsドイツ。

ボールを奪われないために、というより、フィニッシュへ持っていくためにどこへボールをトラップして置けばいいかということを含めた球際での強さ、寄せの速さ、縦への意志の強さ。
戦術云々より、個々の基本的な部分においてクリンスマン・ドイツは圧倒していました。特にトラップの的確さには呆気にとられました。これが世界との差だというより、日本とドイツがそれぞれ別のスポーツをしているようにしか見えなかった。一サッカーファンとしてはドイツがここまで真剣にサッカーをしてきたことをとても嬉しく感じるのですけど、一方、2年後のことを思うと絶望的な気分にもなります。
個々においてここまで圧倒されてしまっているとは。昨夜のゲームに限っていえば、一瞬のスピードと緩急をつけたドリブルにおいてただひとり玉田だけが互角に渡り合っていましたが、後の惨状たるや目を覆うばかり。特に三都主、相手を抜くためのアイデアがなさすぎ。サイド展開の要がこれでは、いったいどいこからチャンスにつなげればいいのか。
今に始まったことではないけどさ。

でもまあ、アラを探せばキリがない(本当にキリがない)ので、今日本はこの程度だということがわかっただけでも戦果というものでしょうか。それにしてもわかったことはあまりに大きく、気が遠くなりそうだけど。

ドイツが本当に楽しそうにサッカーしていたのは意外の感。監督が二転三転してきて、暗澹たる雰囲気のあった代表で、もう自国人で監督を引き受けたいと思うサッカー人なんていないだろうなと思い始めた頃に現れたクリンスマン。底抜けに楽天的で、ポジティヴ思考の人なんだろうな。  
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December 15, 2004

対北朝鮮。

W杯アジア最終予選の組み合わせは決まっていますが、組み合わせ云々以前に大変なことになってきましたね。「人工芝?」て固まってしまったのも、もうご愛敬。拉致問題という国際政治がまともにスポーツに絡んできそうな雲行きです。いや、もう、絡んでしまっているのかもしれない。

DNA鑑定において「当人」の遺骨でないことが判明して政治的圧力をかけよという世論による批判が爆発しています。一方で、この判明の発表のタイミングについて政府側の一部は警察側をきつく非難しているようです(有田芳生『酔醒漫録』12月13日の項参照)。発表があまりに早く、唐突すぎる、ということのようです。その発表までの間に政府は実際何をどうするつもりだったのかその青写真は今となっては闇の中ですが、来年3月をめどに残りの不明被害者の安否を確認するということだったとか。その真意はさておき、なぜ3月だったのでしょうか。

W杯最終予選の初戦で日本が北朝鮮と当たる可能性も考えて、もしそうなった場合、国際政治の局面で波風立たぬうちに初戦が片づいてから、という思惑があったのかもしれません。今夏のアジア杯における中国とのこともありましたしね。
しかし、予選の組み合わせ抽選会は12月9日、DNA鑑定の判定が発表されたのは前日の12月8日。その時、政府関係者は呆然とし固まったのでしょうか。フライングするにも、せめて抽選会終わってから....という思いが胸中をよぎったのでしょうか。

案の定北朝鮮は、もし日本(極右勢力)が経済制裁を発動するなら、それは宣戦布告とみなす、と示唆してきました。「人口芝」蹴球場でのアウェイゲームこそまだ半年以上先ですが、埼玉スタジアムでのホームゲームは2月9日。もう、ふた月もないのです。もしこのゲームが行われるとして、何事もなく無事に済むのでしょうか。せめてFIFAの視点から両国に対して牽制が必要なのかもしれない。92年に国連制裁によってユーゴスラビアがユーロへの道を閉ざされたときの悲劇を繰り返さないためにも。
そうしたところで北朝鮮、まともに話を聞くとは思えないけどさ。  
Posted by kiku999 at 17:02TrackBack(0)