August 06, 2005

藤原伊織。

気骨のある、一本筋の通った主人公たちはその裏返しに少年時代に胸に刻み込んだなんらかの傷と、弱さを持つ。甘さと言い換えてもいいけど、それはいくつもの困難をくぐり抜けてきたものが持つ「余裕」が垣間見せる類の甘さだ。そこには清々しささえ漂う。
このあたりの藤原の筆力は毎度のことながら、凄い。

『テロリストのパラソル』を読んだ読者なら心臓を鷲掴みにされるような感慨を覚えるだろう。きちんとキャベツとソーセージをバターで炒めたカレー味のホットドッグが、無性に食べたくなった。もちろん夏の芝の上で、ではない。うらぶれた、無口なバーテンダーがいるバーで、だ(笑)

藤原が癌を克服し、この『シリウスの道』をさらに凌駕する作品を発表できることを、切に願う。

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