朝、食卓でいつものようにノートパソコンを開いてニュースを確認する。「ギリシャ、初優勝」。呆然とする。それも、0-1という、ポルトガルには屈辱的なスコア。無得点なのだ。スコラーリ監督は大会初戦でこのギリシャに敗れた経験を生かすべく戦術を練り直したのだろうか、と思ってしまう。フランス、チェコを倒してきた相手なのに。
フランス、イタリア、スペインのメディアはこれできっと今回のEUROはフットボールの歴史において「あってはならなかった」とか「価値のない大会だった」とかいうふうに評するのだろう(イングランドはしないような気がする)。
逆に、セミファイナルで敗れたチェコは選手も含めて関係者全員が自分たちが敗れた事実には「正当な」理由があったのだとその事実を受け入れ、ギリシャを心からたたえることができるようになるのだろう。
イングランドも恐らく同じような心境だろう。日韓W杯予選でこのレーハーゲル監督に率いられたギリシャにホームで先制されて追いつめられ、ベッカムのFKでかろうじて本戦出場を決めることが出来たという経験があるから。
攻撃的であることがメインストリームであり、そのための戦術を考えることが重要である時代に、ギリシャのサッカーは逆行しているとは言わないまでも明らかに傍流をゆき、スペクタクルでも優雅でもない。だから面白くもなんともないのだが、そういうチームのやり方を打開すべく戦略を練った将はこの EUROではいなかった。今回対戦することはなかったが、イングランドのエリクソンだったら策を講じたかもしれない。