November 17, 2004

システム論の前に。

サッカーのシステムにこだわる杉山茂樹の記事はわりと好きで立ち読みで済ますサッカー雑誌でも彼の記事は熱心に読む方なのですが、最近光文社から出た『VS』という『Number』路線の創刊3号で日本代表のシステムについてとてもわかりやすく詳しい記事を書いていたのでこのためだけに買いました。いえ、本当にこの記事のためだけに。スポーツジャーナリストとしては錚々たるメンツを集めていますが、『Number』誌の二番煎じというか、視点がかなり凡庸に思えます。ただ和田泰明という人が書いた井上雅彦の『リアル』に基づいた障害者バスケットボールの記事は新鮮で、読み応えありました。私の中では久々のヒット。

前ふりはここまでにして。
戦術を固めるにはまず戦略がモノをいい、さらにその上に確固とした哲学がなければいけないと繰り返す杉山はJリーグと日本代表についてシステム論ばかりが先行する昨今の風潮を憂い、その本末転倒の末に迷走してばかりの日本代表に対し警鐘を鳴らしています。
同意はするけど、じっさいのところ悲観的にならざるを得ません。
今、世界の趨勢となっている4-2-3-1は率直に言えば3-5-2を粉砕するために編み出され進化してきたシステムなわけで、2、3シーズンのスパンでみればこれを砕くためにさらに考慮されて新たな標準のシステムが生まれる可能性はいくらでもある。たとえ4-2-3-1の布陣を敷いたところで唯一の理念がチーム全体に浸透し、それを叶えるだけの個々のフィジカルの強さとテクニック、シンクロするイマジネーションの豊かさがなければシステムは機能しないし、成熟もしない。末節の条件をクリアした上で初めて理念の具現化の可能性が見えてくるわけだけど、その時間の経過のうちに、上を行くものはさらに上を行っている可能性もあるというわけだ。
「メインストリームに乗らなければ進化しない」ではなく、メインストリームを叩くためにどんな戦略を持つべきかを考えなければならないのだろうが、進んでそのリスクを負えるだけの度量をもつJのチームは少ないだろう。新潟、広島、東京FCぐらいのものではないだろうか。

浦和の場合は3バックとはいえヒディンク・コリアの3FWに近いからJの中ではまだマシなのだろうけど、来春坪井と山瀬の完全復帰を視野に入れて世界主流を変えるほどの戦略を練り、戦術を探らなければ進化はないし、来季以降の覇権も望めない。層の厚さだけでは東京FCを叩きのめすことなどできやしないことはセカンドステージとナビスコカップでの対戦でイヤというほど思い知らされたはずだ。
坪井を入れた4バックシステムをブッフバルトがまさか考えていないわけないだろうけど、そうなればアレックスは当然戦術構想外となるし、永井もスーパーサブに戻るかもしれない。下部組織からの際立つ才能の話を聞かないのは寂しい。でも長期的な戦略のもとにシステムに有機性を持たせなければあっという間に残留争いを繰り返すチームになり果てる。
こんな事は浦和のサポーターなら誰もがわかっていることなのだろうけどそれでも言わずにはいられない。3-5-2がしっくりくるチームではあるけれど、置いてけぼりにされる前に少なくとも4-2-3-1の東京FCを「計算通り」に叩きのめすだけの戦略を熟考して欲しい。
チャンピオンシップに進出するのだからこそ、そう思うのだ。

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通勤電車で読むために、試しに買ってみました。 なかなか面白いです。numberの月刊誌版のような感じですが、numberより中身が濃いです。 表紙にもなっている小野伸二の記事もよかったけど、それよりも漫画「リアル」についての記事が泣けるぐらい面白かったス。和田泰明っ
VS.【パドブレ魂(パドブレ・ダマシイ)】at November 21, 2004 21:02