August 13, 2005

世界陸上雑感。

200mの末続と400mハードルの為末を比較するのはその競技の性質上無謀に過ぎるだろうけど、テレビで観ている限り為末の完全燃焼ぶりに末続は遠く及ばなかった。予選を勝ち上がったとき、両者に悲壮感やある種の覚悟なんて大層なものはなく、案外淡々としていたのが印象的だった。
ただ、為末のほうが何のわだかまりもなく晴れ晴れとしていた様子がうかがえたようだったのは気のせいだったのだろうか。逆に末続はちょっと苛立っているかな...という雰囲気も見えて、下手したら言い訳にしかならない定番の台詞、「楽しんで走ります」とコメントしていたのが負けを覚悟していた証拠だったのか。凡人には感得できない微妙な違和感があったのかもしれない。この準決勝敗退という結果は末続の実力通りではないはずだ。

棒高跳びという競技がここまでテレビでクローズアップされるのが不思議でならなかったのだけど、ウチの相方は「澤野のキャラが立っているからや」と言っていた。「キャラが立っている」という言葉の意味がわからなかったので「どういうこと? トウが立っているってこと?」と訊いたのだけど無視された。仕方がない。
澤野を見ていてその佇まいに、横浜Fマリノスの中澤がオーバーラップする。

当たり前だけど澤野の背筋は凄い。アテネ五輪開催以前に、あるスポーツ雑誌でその背中が写真で紹介されていたけれど、作られた背中ではなく、「そうなってしまった背中」だった。そういうのは、美しいと思う。
5m50で入賞という本人には納得のいかない結果だったろうけど、天候を含めて条件は皆同じなかでこの成績は賞賛されるべきだろう。大阪大会が楽しみだ。

男子棒高跳びの悪天候から一転して好天に恵まれた中でのイバンシエワ、競技前から勝負は決まっていましたね。他の競技者のことは一切意に介せず、フィールドに寝ころんだままずーっと自分のイメージの中に入っている様子。
駆け引きよりもっと大事なことを自分の中でどう制御し、どう操ればいいのか、その術を知る者の差、なのでしょうか。
勝者のメンタリティを持っているというアドバンテージは個人競技においてはこんなにあからさまになってしまうんだなと実感しました。  

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June 22, 2005

ひとり時事放談。

なんだかなあ、と溜息が出てしまうニュースが多い。

ジェンキンス氏の訪米(帰国?)の件、どうしてメディアはそこまで躍起になって追いかけるのか。脱走兵の「家族」であることで肩身の狭い思いをしている米国人もいるだろうに。曽我一家にしたって、放っておいてほしい、とか思っているのではないのだろうか。あるいはもう、こういう(メディアがつきまとう)状況は私たちの宿命だと諦めているのだろうか。
映画『ディアハンター』のなかで、英雄に祭り上げられて出身地の人々に迎えられようとするロバート・デ・ニーロ扮する兵士は、ベトナムに残してきた友人(正確にはベトナムで行方不明になった、だけど)に対する情のために大仰に迎えられることをよしとせず密かに町に戻る。謙虚さというより節度をわきまえている、というか。そういう節度が曽我一家に対しても米国民に対してもこの国のメディアは足りないような気がする。
僕はその映像を見ていないけど、ネットに出たニュースを読む限り喜々としているジェンキンス氏の表情はあからさまで、そのあたりにも微妙な違和感を覚えてしまう。

ネット絡みの自殺者続出の件。
結局、ひとりでは死ぬことが出来ない、ということだろうけど、どうなんだろうな、死ぬ前に少しは甘えさせてくんないかな、という心境なのでしょうか。誰か同じ気持ちを共有できる者さえいれば「楽に」死ねるような気がするから、とでも思っているのかな。
もしそうなら、逆に直截に、はっきり「故意に命を絶つのはあかん」と根拠もなしにそう怒鳴ってくれる者を求める方が人間らしいような気がするのだけど。僕も、何で自殺はあかんのか、なんてうまく説明することはできないけどさ。

ウチの相方から聞いた話ですけど、卓球の愛ちゃんが中国でのインタビューでプロとしてお金を稼いでそれで家族を養っていることについて何か訊かれて、ぼろぼろに泣いていたという件。
そういう質問が不愉快ならはっきり言えばいいし、「それで? だから?」とかぼけるなり突っ込むなりすればいいと思うのですけど、なんで泣くの?
だってプロなんでしょ?  
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March 24, 2005

ボビー・フィッシャー、アイスランドへ。

茨城の東日本入国管理センターに8ヶ月間拘束されていましたが、解放されました。
アイスランドの国会がフィッシャーに市民権を与えた(永住査証の発券を認めた)ことに対し、アメリカ側は日本に送還を要求していますが、時既に遅し。亡命者ですからね。

北朝鮮拉致問題でジェンキンズ氏を日本に引き渡すのと交換にフィッシャーの強制送還という政府間での取引も憶測され、パスポートの期限切れに対する米政府の工作があったんじゃないかとかダークな面が多いこの件ですが、まあ、最終的に彼の望む地へ無事に旅立つことができるようで、よかった。


ボビー・フィッシャー  
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January 19, 2005

ボビー・フィッシャーに関する動き。

昨年夏、元世界チェス王者ボビー・フィッシャーが成田空港の入管支局に収容されたというニュースがありました。
それについてのエントリ

その後、彼に関するニュースは恐らくこれだけ

4ヶ月ぶりに動きがあったようです。
アイスランドという理由は不明ですが、ボビー・フィッシャーの代理人からの出国スケジュールの確認を、何故国側は回答拒否するのでしょうか。
北朝鮮拉致問題におけるジェンキンス氏の解放と亡命との交換条件が、この事実なのでしょうか。
なにしろ、情報がどこにも出ていません。

  
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January 05, 2005

"TSUNAMI" 雑感。

年末に、今年の10大ニュースをUpしようと思って、何があったっけなあとつらつら考えているうちに年が明けてしまったのですが、いや、実のところスマトラ沖地震からの大津波の災害の大きさに呆然としてしまったというのがほんとのところ。

911への報復を名目にしたアメリカのイラク攻撃とか奈良幼児殺人事件を始めとするもろもろの性犯罪とか拉致問題における北朝鮮の対応とか宅間被告の死刑執行とか浦和レッズの大躍進とかいろいろありましたが、この津波災害を巡る駆け引きめいた理不尽さには怒りを通り越して沈黙するばかりだ。

真っ先に思ったのは津波警報システムがまったく完備されていなかったことで欧米の被害者家族たちがこのインド洋諸地域の国々に対し損害賠償請求を起こすのだろうなー、ということでした。
あるいはそのシステムがなくてもこれだけネットワークの形態が進化していながらどうしてひとつの警報も届けることもできなかったのだろう? タイ辺りでは象を含めて放し飼いにしていた動物たちが地震による津波を感知し、高いところに逃げていったために象に乗っていた観光客とかが助かったという話がありましたが、これはもう、情報化社会に対する皮肉以上の何物でもないなー、と。ある意味警鐘だとも思えて仕方ない。おまけに災害を受けた地域に救援の車が入れないためにこの象たちがひと仕事任されているというし。

メールマガジンJMMの冷泉彰彦氏の投稿(1月1日)にもあったのですが、アメリカのファルージャ攻撃の際に使用された軍事衛星からの監視システムがこの津波の際にまったく使われていなかったという不思議。ブッシュ大統領が父ブッシュと前大統領クリントンに募金活動の支援を頼んだりパウエルが被災地を視察したりしているとはいえ、その裏にある目論見がほんとのとこ何なのか不鮮明で、タイのタクシン首相が地震発生から75分の間、津波警報が出されなかったことに対して気象庁トップを更迭したと言うことも含めて、どこか責任回避の感がしてならない。毎日新聞にもありましたが、「ブッシュ大統領は、津波被害に関する1日のラジオ演説で、米国が国際的な有志連合を主導すると強調した」という件を始めとして、自ら引き起こした失敗の返上のチャンスとばかりに躍起になっている感は否めない。アメリカはその前にイラク撤退が先だろう。

本当の誠意とは多分にメディアの伝えられない部分で展開されるというのがどうも世の常であるらしいとはいえ、なんとかこのペシミスティックな気分から今年は解放されたいものだけど。  
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December 15, 2004

対北朝鮮。

W杯アジア最終予選の組み合わせは決まっていますが、組み合わせ云々以前に大変なことになってきましたね。「人工芝?」て固まってしまったのも、もうご愛敬。拉致問題という国際政治がまともにスポーツに絡んできそうな雲行きです。いや、もう、絡んでしまっているのかもしれない。

DNA鑑定において「当人」の遺骨でないことが判明して政治的圧力をかけよという世論による批判が爆発しています。一方で、この判明の発表のタイミングについて政府側の一部は警察側をきつく非難しているようです(有田芳生『酔醒漫録』12月13日の項参照)。発表があまりに早く、唐突すぎる、ということのようです。その発表までの間に政府は実際何をどうするつもりだったのかその青写真は今となっては闇の中ですが、来年3月をめどに残りの不明被害者の安否を確認するということだったとか。その真意はさておき、なぜ3月だったのでしょうか。

W杯最終予選の初戦で日本が北朝鮮と当たる可能性も考えて、もしそうなった場合、国際政治の局面で波風立たぬうちに初戦が片づいてから、という思惑があったのかもしれません。今夏のアジア杯における中国とのこともありましたしね。
しかし、予選の組み合わせ抽選会は12月9日、DNA鑑定の判定が発表されたのは前日の12月8日。その時、政府関係者は呆然とし固まったのでしょうか。フライングするにも、せめて抽選会終わってから....という思いが胸中をよぎったのでしょうか。

案の定北朝鮮は、もし日本(極右勢力)が経済制裁を発動するなら、それは宣戦布告とみなす、と示唆してきました。「人口芝」蹴球場でのアウェイゲームこそまだ半年以上先ですが、埼玉スタジアムでのホームゲームは2月9日。もう、ふた月もないのです。もしこのゲームが行われるとして、何事もなく無事に済むのでしょうか。せめてFIFAの視点から両国に対して牽制が必要なのかもしれない。92年に国連制裁によってユーゴスラビアがユーロへの道を閉ざされたときの悲劇を繰り返さないためにも。
そうしたところで北朝鮮、まともに話を聞くとは思えないけどさ。  
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December 01, 2004

世界エイズデー。

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今朝Googleを開けたら、赤いリボンのロゴマーク。
ああ、そうかー、12月1日かー。っつうか、もう12月かよーとしみじみ。

で、世界エイズデー絡みのニュースをぱらぱら読んでいたのですが、中国でのHIVキャリアが84万人というのに驚かされました(参照)。極端にいえば大阪市の人口の約3分の1がキャリアであるってことか。京都市だったら2人にひとりはキャリアなわけですね。おまけにキャリアであるということと発症しているということの違いをちゃんと理解しているのは半分にもみたないという調査結果。ーーー都市部の調査でこれですからね。
こんなんで差別が消えるはずもない。

日本も血液製剤による初のエイズ患者が出てから菅直人(当時厚生大臣)が謝るまで10年経っていたわけで、こんな中国の現状を非難できる立場にはありませんけど、なんか、寂しくなりますね。(参照

それでも86年頃に秋里和国がプチフラワー誌で同性愛とエイズを背景にした『TOMOI』を連載していて、彼女の鋭利な時代感覚に感銘を受けた記憶があります。今思えば、漫画家という立場だからこそあの時代にあのテーマで描けたのかもしれないな。  
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November 11, 2004

ファルージャ。

ブッシュ大統領は今回のファルージャ制圧攻撃について「無実の民を殺害するものを裁きにかけるため」暫定政府アラウィ首相の要請を受けて行っていると述べました。(参照
最近のイスラム武装勢力による拉致殺害事件に対する行動であるのみならず、「911」への報復の延長であることは知れたことです。その結果がこれです。
泥沼ですね。
果たしてアラウィ首相はブッシュに全土撤退してくれと、再び懇願するのでしょうか。したところで、ブッシュが了解の「英断」などするはずもありませんが。

ちょうど1年前に "Cafe Impala" で池澤夏樹は自衛隊のイラク派遣を「実際的な成果ではなく、象徴的な結果を求めるものでしかない」と断言しています。もちろん日本の対アメリカの構図における象徴性のことを言っているのでしょう。それは今回の、アメリカのファルージャ制圧についても逆の意味で同じ事が言えると思います。ファルージャがアメリカへの憎悪を象徴する土地になったという意味で、です。
「今回のファルージャの戦闘は米軍が短期間で勝利(制圧)することは間違いない。だがイラク人犠牲者の多さと、徹底的に破壊された市街地は、イラクで反米抵抗の聖地(シンボル)になるだろう。だから米軍の負けなのである。 」(参照
だから自衛隊はもういい加減撤退しなければいけない、と毎日朝刊に書いた軍事アナリストの神浦氏は結んでいます。
でも日本も、小泉首相が今回の攻撃を「成功させなければならない」と支持したときに、すでに負けているのです。自衛隊派遣延長を主張したときにすでにぬかるみから足を抜き出すことが出来なくなっているのです。自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ云々の岡田との党首討論はなんか的はずれに思えてなりません。

どうもいかさまな匂いがしてマイケル・ムーアを好きになれないのですが(理由はなく、単に直感的なものなんですけど)、大義も名誉も野望もない、ただ憎悪から始まったブッシュの狂気を止めるのに、映画という媒体は何ら力を持たないということをムーアは自ら証明していまいました。
せっかく世界の舞台にイラクサッカーも戻ってきたところなのに、ブッシュがぶち壊しにしてしまいました。スポーツに国際政治が関わるとろくなことありません。
コートジボワールでの動乱では抗フランス政府軍がブッシュに働きかけて、フランスをやつけてくれ、とかいっているそうです。

神様はどうさいころを転がしてこの混沌に秩序を与えるつもりなのでしょうか?  
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November 03, 2004

日本人青年拉致殺害映像について。

イラクでの日本人拉致殺害事件の様子がネットで流れました。最後は切り落とした首は胴体の上に乗せられたそうです。

どこかの国のジャーナリストが拉致され殺害された様子がネットで流れたものを一度見たことがあるのですが、この手の映像はもう見る気になれません。こういう虐殺の映像は多分これからも意識して見ることはないと思います。日本人のものだろうがなんだろうが。ただ単にそれを「見ること」が無意味だから。その模様が映像となってネットに乗せられたということは、テロリストが自分らの大義(ほんまかどうかは知りませんが)を完遂させようとした意志を見せようとしたに過ぎないのだと思います。

2chで日本人なら見るべきだという論争というか話題があるらしいです。(参照)はなから2chは疲れさせるばかりで覗くこともなくなったのでここは、まあいろんな人おるしなあ、で済ませることとします。

(テロにより殺されたという)事実がわかったならその事実ですべて。その事実について語られるべきなのに、映像を見るべきかどうかとか、見なければ日本人じゃないとか、死とは云々とかいう問題にすりかえることこそが「逃避」に思えます。
問題とされるべきは単に「テロリズム」についてだと思うのです。ここで「日本人」を持ち出したらそれこそ彼らの思うつぼじゃないのでしょうか?  
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October 30, 2004

日本人青年殺害を確認。修正追加。

アルカイダ組織に拉致されていた日本人青年の殺害が米軍によって発見され、確認されたそうです。
この春の高遠氏をはじめとする3人組と2人のグループが拉致された事件やジャーナリストの橋田信介氏がバグダッド近郊で殺害された事件より、衝撃的です。メディアの扱いがここまでないがしろだという点において。小泉首相もインタビューされるたびに「テロには屈しない。自衛隊撤退はない」とそれだけでマイクからさっと去っていくというものばかりでしたし、その顔には「よりによって新潟がこんなに大変なときに.....どうしてこんな大馬鹿者のために動かなきゃならないんだッ」という憤怒がありありと表れていましたね。春の拉致においても一度さえ「自己責任」に対して自ら発言しない若者たちの馬鹿さ加減には呆れて果てていたのでしょうね、ここまでくると、「この恥さらしが....」とか思っているのではないのでしょうか。
とにかくバグダッドに向かった動機が幼稚なのでご両親としては何ら強いことを言えず耐えるばかりでしょう。「なんでこんな事に税金使わなければならないんだ」とか中傷の電話、メールが相次いでいたということですが、お気の毒としかいえないですね、こういう結果になったら。
海外メディアから今回の日本(人)の対応について「冷たい」と批判が相次いでいたらしいですが、その構図に対しては、もう仕方ないんじゃない?としか返せないですね。
ただこれからの政府の動向と世論については気になります。

と、今朝書いたところがこのていたらく。
メディアのフライングだったのか、あるいは?
日本政府はどういうスペシャリストを送り込んでいるのでしょう? また、今回のことについて自衛隊の動きがまったく報道されていないように思うのですけど、私の見過ごしなのでしょうか....
小泉、運が強いというかなんというか。
ご両親の心労がしのばれます。  
Posted by kiku999 at 09:24TrackBack(0)